2020/5/11
ADHDは心の病ではなく、脳の障がいと考えられています。
ADHDの皆さんは、薬物療法を受けていなくても生活をされています。
それぞれの生活環境で、ADHDであるがゆえに生活に支障が出ている人もいれば、出ていない人もいます。
では、薬物療法の意義は何なのでしょか?
それは、「生活のしやすさ」です。
視力が悪い人は、メガネやコンタクトレンズをつけなくても、なんとか生活は出来ます。
しかし、ものが見えづらかったり、段差に躓き転んでしまったり、また、ぼやけている視界一所懸命見ようとして肩が凝ったり疲れたりしますよね。
メガネやコンタクトレンズをつける事により、より周りがクリアに見えてきますよね。
そうすることで、その人の「生活しやすさ」、「生活の質」が向上します。
当医は、ADHDの薬物療法の意義は、このメガネ、コンタクトレンズと同様に、その人の、生活しやすさをサポートすることだと考えます。
ADHDの皆さんは、薬物療法を始める前より、経験上様々な工夫をする事によって、苦手なことを克服しようと頑張っています。
例えば、常に「my手帳」を身に着けて、今日行うことを記載し、一日に何回も見直すなどが代表的です。
このような、様々な工夫をより行いやすくするツールとして薬物療法は非常に意味があるアプローチです。
私たちも、遠くの目的地に行くために、バスや電車があるのにも関わらず、わざわざ徒歩で行くことはあまりしませんよね。
「その人らしい時間」という目的地に行くのに、一つの効率の良いツールとお考えになっては如何でしょうか?
脳の機能を担っている神経伝達にはいろいろなものがあり、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリン、GABAなどがあります。
ADHDは、その中のノルアドレナリンとドーパミンの機能低下が原因の一つと考えられています。