HSPと過覚醒
2020/1/31
日ごろ、クリニックで診療を行っていますと、「自分は、HSPじゃないでしょうか?」との、お悩みで受診される患者さんもいらっしゃいます。
「敏感すぎて疲れてしまう人」のコラムで説明させて頂きましたが、HSPは病気ではなく、気質です。
上記のお悩みで、受診される患者さんの中には、確かに、HSPの気質が濃い人はいらっしゃいます。
しかし、「HSP」を疑って受診される患者さんの多くは、HSPではなく、見かけ上の「HSP」の方が多くいらっしゃいます。
見かけ上のHSPとは過覚醒
では、見かけ上のHSPとはどのような状態かといえば、「過覚醒」です。
(過覚醒に関しては、「ストレスと過覚醒」のコラムに詳しく書いていますので、ご参照頂ければ嬉しいです。)
過覚醒による感覚の鋭敏化
過覚醒状態になると、交感神経が優位になる状態が常に続くため、感覚の鋭敏化が起こります。
結果、HSPと同様に、周りの状況、刺激に対して敏感になります。
例えば、仕事のストレスにより過覚醒状態となった場合、上司の表情や声、上司の自分への評価、周りの人の表情、また、周囲の音や匂いなどにも鋭敏になってしまいます。
つまり、見かけ上HSPのようになってしまいます。
この場合は、過敏・敏感の原因が過覚醒であるので、過覚醒状態が改善すれば、当然、過敏・敏感な状態はなくなります。
また、過覚醒のみであれば、HSPの特徴(DOES)である、Emotional reactivity and high Empathy:「感情的反応性・高度な共感性」とDepth of processing:「処理の深さ」(コラム「敏感すぎて疲れてしまう人」参照)がない事も、過覚醒とHSPの違いです。
過覚醒からHSPになるか、HSPから過覚醒になるか、
しっかりと判別して治療しましょう
しかしながら、HSPの人は、元来が敏感であったり、相手の言葉や言動に対して、深く考えてしまい、共感性も高いため、当然、過覚醒を起こしやすい気質です。
このような事もあって、「HSPと適応障害、うつ病」のコラムでも書きましたが、HSPの人は、適応障害やうつ病になる危険が高いと思われます。
よって、治療に関しては、過覚醒の原因として、その背景に、HSPがあるのか否かを鑑別することも大切と言えます。
診察時に、様々な問診をさせて頂き、鑑別を進めていきます。
※本掲載内容を許可なく転載することを禁じます
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