適応障害とうつ病の違い(一般論)
2021/8/4
最近、「適応障害」が注目されております。
当方、看護学校や精神保健福祉士の学校で教鞭をとっておりますが、学生から、この適応障害とうつ病の違いを聞かれることが多々あります。
精神疾患の国際的な診断基準であるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では、適応障害とは、
「はっきりと確認できるストレスの原因があり」
↓
「そのストレスの始まりから3カ月以内に心または行動に症状が出る。そして、そのストレスから離れる事が出来れば6か月以内に改善する」
とされています。
また、その症状は、以下の1つまたは両方に当てはまります。
- きっかけとなった出来事や状況から一般的に予想されるより、強い症状が出ている
- 仕事や日常生活などに大きな支障が出る
う~ん。わかるようでわからない感じがしませんか?
ここで学生から質問がありました。
「先生、だったら、仕事とか対人関係のストレスで、うつになった場合、適応障害での「うつ」なのか、うつ病の「うつ」のどっちですか?」
すっごく良い質問です。このような疑問を感じた学生、素敵です。
職場などのストレスで、うつ症状を呈することはよくありますよね。
その場合、「適応障害によるうつ状態」なのか、「うつ病によるうつ状態」なのか当然疑問に思いますね。
一般的な考え方
では、まず一般的な考え方を説明します。
先ほどのDSM-5では、適応障害の診断基準に、「そのストレス関連の症状は、他の精神疾患の基準を満たさないし、既存の精神疾患の増悪でもない。」とあります。
数年前、当方が所属している日本精神神経学会総会でもご専門の先生がご説明されていましたが、そのうつ症状が、うつ病の診断基準を満たすほど重度であれば「うつ病」と診断し、うつ病の診断基準を満たすほどでなければ、「適応障害によるうつ状態」と診断します。
確かに、診断基準上ではこのように解釈します。
しかし、当方は精神病理とハイデルベルク学派をこよなく愛しているので、少し違った角度の解釈も踏まえて、適応障害とうつ病の鑑別を行います。
※本掲載内容を許可なく転載することを禁じます
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