更年期障害に伴ううつ状態
更年期障害の症状
- 1)自律神経症状
- 熱感、のぼせ、めまい、耳鳴り、発汗、寝汗、ひえ、動悸、不眠
- 2)精神症状
- 抑うつ気分、意欲の低下、情緒不安定、集中力低下、悲哀感、イライラ
- 3)そのほかの症状
- a)運動器症状:手足のこわばり、しびれ、肩こり、関節痛、腰痛、筋肉痛
b)消火器症状:食欲低下、胃部不快感、腹痛、吐き気、便秘、下痢
c)その他:口の渇き、疲れやすいなど
その中で、精神症状、特にうつ状態が重く出る人もいます。ある研究では、更年期障害の1/4以上がうつ状態になってしまうという結果もあります。
その原因としては、内分泌学的要因と心理社会的要因のいずれもがその原因になっているといわれています。
エストロゲンの減少
更年期に差し掛かると、卵巣における発育卵胞の数が急激に減少し排卵周期の減少、卵巣の縮小などを生じます。
それに伴い、女性ホルモンであるエストロゲンの血中濃度が低下します。
このエストロゲンの減少が更年期に伴う、うつ状態の一因と考えられています。
ライフサイクルで直面するストレスと不安
また、更年期はライフサイクルの面でも様々なストレスにさらされます。
更年期の心理としては、閉経に伴う若さの喪失、子供が自立することにより生きがいの喪失、夫との間の愛情の喪失、体力・美しさの喪失など様々な喪失体験にさらされ、また、初老に突入することへの不安や、介護に対する不安も経験します。
そのような、内分泌学的要因や心理社会的要因により、更年期に伴ううつ状態が引き起こされます。
治療
薬物療法
薬物療法としては、抑うつ気分や悲哀感、意欲の低下に対しては抗うつ薬(SSRIを頻用します)、また、更年期のうつ状態では、不安・焦燥も強いため、抗不安薬や感情調整薬も併用します。
そして、症状緩和のため、漢方薬も併用します。意欲の低下や抑うつ気分が強いときには加味逍遥散などや、イライラ、不眠が強いときは抑肝散なども使用します。
また、症状がエストロゲンの消退に起因している場合はホルモン補充療法を行います。
カウンセリングや心理療法
一方、心理社会的要因が強い場合は、カウンセリングや環境調整などを行います。
特に、この時期の女性は人生の大きな節目を迎えており、カウンセリングや支持的精神療法にて不安を軽減し、更年期の症状に対する苦しみを家族、周りが理解してあげることだけでも症状緩和に大きく役立ちます。
そうならないために
更年期は女性にとって避けられないライフイベントです。
更年期に差し掛かってくると色々な身体症状、精神症状が出てきます。
自分自身、更年期に対する知識を身につけ、その症状が出始めたら早め早めに婦人科、精神科・心療内科を受診することで更年期を楽に乗り越えることが出来ます。
家族や周りに対しても、ただの気分とながさず、きちんと自分の状態を伝えることも大切です。
そうする事で、周りから理解、サポートを受けることができ、お互い無駄なストレスを感じずにすみます。
更年期を予防するというよりかは、更年期と上手く付き合うと思いましょう
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